昨日のブログでお約束した通り、
今日は旧法第67条についてご説明します。
(なお、昨日は「そしてできれば、
第68条や第69条についてもご説明したいです。」とも書きましたが、
説明をできるだけ分かりやすくするために、
これらの条文についてのご説明は明日にさせていただきます。)

Ⅰ 旧法第67条は以下のような規定でした。
「第六十七条 勾留状ハ已」(や)「ムコトヲ得サル場合ニ
   非」(あら)「サレバ少年ニ對」(たい)シテ之ヲ發」(はっ)「スル
   コトヲ得ス
  拘置監ニ於」(おい)「テハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外少年ヲ
   獨居」(どっきょ)「セシムヘシ」

Ⅱ 旧法第67条第1項、つまり「勾留状」から「得ス」までの部分の
「勾留状」とは、逮捕されて刑事裁判所に起訴されるまでの被疑者と
起訴された後の被告人の身柄を拘束する「勾留」という手続を取ることを
許可する裁判所の令状のことです。
https://keiji.vbest.jp/columns/g_other/5796/
 そして、旧法第67条第1項とそっくりな規定は、現行法第48条第1項にも
存在します。それによりますと、「第四十八条 勾留状は、
やむを得ない場合でなければ、少年に対して、
これを発することはできない。」と規定されています。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000050

Ⅱ 旧法第67条第2項、つまり「拘置監」から「セシムヘシ」までの部分の
「拘置監」とは、「旧監獄法で規定されていた監獄の種類の一つで、
刑事被告人や死刑の言い渡しを受けた者を拘禁する場所」です。
現在では「拘置所」と呼ばれています。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%8B%98%E7%BD%AE%E7%9B%A3/
 また「獨居」とは、囚人を一人だけ入れておく部屋に入れることです。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E7%8B%AC%E5%B1%85%E6%88%BF/#jn-159291
 つまり、旧法第67条第2項は、「拘置監においては特別の事由ある
場合を除いては少年を独居させなければならない」という意味です。
 現行法には、旧法第67条第2項にぴったり対応する規定はありません。
ただ、第49条第3項に「刑事施設、留置施設及び
海上保安留置施設においては、少年(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に
関する法律(平成十七年法律第五十号)第二条第四号の受刑者(同条第八号の
未決拘禁者としての地位を有するものを除く。)を除く。)を成人と分離して
収容しなければならない。」と規定されていますので、
拘置所に収容されている少年も成人と分離して収容しなければなりません。

Ⅲ なお、現行法第48条の第2項と第3項には以下のような規定があります。
「2 少年を勾留する場合には、少年鑑別所にこれを拘禁することができる。
3 本人が満二十歳に達した後でも、引き続き前項の規定によることが
できる。」
 つまり、現行法によると、少年を勾留する場合でも、少年鑑別所にこれを
拘禁することができますし、本人が満20歳に達した後でも、
引き続き少年鑑別所に拘禁することができます。これは良い規定だと
思います。なぜなら、少年鑑別所の方が、拘置所よりも、
少年の扱いに慣れているからです。
 そして、現行法第48条の第2項と第3項に対応する規定は、旧法には
存在しませんでした。というのは、旧法には少年鑑別所に対応する施設が
なかったからです。

Ⅳ 以上で、旧法第67条についてのご説明を終わらせていただきます。
明日は、今日のブログの冒頭でお約束した通り、
旧法の第68条や第69条についてご説明します。


コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索