昨日のブログに続き、今日も、
少年審判所における保護処分を決定するための手続をご説明します。
Ⅰ 第1に、旧法の第36条には次のような規定がありました。
「第三十六條 少年審判所ハ必要ニ依リ何時ニテモ少年保護司ヲシテ本人ヲ
同行シセシムルコトヲ得」
これと似た規定は、以下に引用する現行法の第11条から第13条までに
あります。
「(呼出、同行)
第十一条 家庭裁判所は、事件の調査又は審判について必要があると
認めるときは、少年又は保護者に対して、呼出状を発することができる。
2 家庭裁判所は、正当の理由がなく前項の呼出に応じない者に対して、
同行状を発することができる。
(緊急の場合の同行)
第十二条 家庭裁判所は、少年が保護のため緊急を要する状態にあつて、
その福祉上必要であると認めるときは、前条第二項の規定にかかわらず、
その少年に対して、同行状を発することができる。
2 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、
又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
(同行状の執行)
第十三条 同行状は、家庭裁判所調査官がこれを執行する。
2 家庭裁判所は、警察官、保護観察官又は裁判所書記官をして、
同行状を執行させることができる。
3 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、又は合議体の
構成員にこれをさせることができる。」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000168
ただし、現行法は、同行状を発する前に呼出状を発することを
家裁に義務づけています。
Ⅱ 第2に、旧法の第37条から第39条までには以下のような規定がありました。
「第三十七條 少年審判所ハ事情ニ従ヒ本人ニ對」(たい)「シ假」(かり)ニ
左」(さ)「ノ處分」(しょぶん)「ヲ爲スコトヲ得
一 條件ヲ附シ又ハ附セスシテ保護者ニ預クルコト
二 寺院、教會、保護團體」(だんたい)「又は適當ナル者ニ
預クルコト
三 病院ニ委託スルコト
四 少年保護司ノ観察ニ付スルコト
已」(や)「ムコトヲ得サル場合ニ於」(おい)「テハ本人ヲ
假」(かり)ニ感化院又ハ矯正院ニ委託スルコトヲ得
第一項第一號」(ごう)」「乃至」(ないし)「第三號ノ處分アリタルトキハ
本人ヲ少年保護司ノ観察ニ付ス
第三十八條 前條ノ處分ハ何時ニテモ之ヲ取消シ又ハ變更」(へんこう)
「 スルコトヲ得
第三十九條 前三條ノ場合ニ於テハ速」(すみやか)「ニ其」(そ)
「ノ旨」(むね)ヲ保護者ニ通知スヘシ」
現行法には、このような「仮の保護処分」に関する規定はありません。
ですが、旧法第37条第1項の第一号(一の箇所)から第四号(四の箇所)
および第3項(「第一項」から「付す」の箇所)に似ている現行法の規定として、
次のような第25条の規定があります。
「第二十五条 家庭裁判所は、第二十四条第一項の保護処分を決定するため
必要があると認めるときは、決定をもつて、相当の期間、家庭裁判所調査官の
観察に付することができる。
2 家庭裁判所は、前項の観察とあわせて、次に掲げる措置をとることが
できる。
一 遵守事項を定めてその履行を命ずること。
二 条件を附けて保護者に引き渡すこと。
三 適当な施設、団体又は個人に補導を委託すること。」
そして、現行法そのものには規定がないのですが、少年審判規則
第40条第6項には、現行法第25条の「家庭裁判所調査官の観察に付する
決定は、いつでも、取り消し又は変更することができる。」と規定されて
います。
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/20150601syounenshinpankisoku.pdf
Ⅲ また、現行法では少年を仮に児童自立支援施設や少年院に委託すること
が認められていないのは、以下のような観護措置に関する規定があるからです。
「(観護の措置)
第十七条 家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもつて、
次に掲げる観護の措置をとることができる。
一 家庭裁判所調査官の観護に付すること。
二 少年鑑別所に送致すること。
2 同行された少年については、観護の措置は、遅くとも、到着のときから
二十四時間以内に、これを行わなければならない。検察官又は司法警察員から
勾留又は逮捕された少年の送致を受けたときも、同様である。
3 第一項第二号の措置においては、少年鑑別所に収容する期間は、二週間を
超えることができない。ただし、特に継続の必要があるときは、
決定をもつて、これを更新することができる。
4 前項ただし書の規定による更新は、一回を超えて行うことができない。
ただし、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る死刑、懲役又は禁錮こに
当たる罪の事件でその非行事実(犯行の動機、態様及び結果その他の当該
犯罪に密接に関連する重要な事実を含む。以下同じ。)の認定に関し
証人尋問、鑑定若しくは検証を行うことを決定したもの又はこれを
行つたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じる
おそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合には、その更新は、
更に二回を限度として、行うことができる。
5 第三項ただし書の規定にかかわらず、検察官から再び送致を受けた事件が
先に第一項第二号の措置がとられ、又は勾留状が発せられた事件であるときは、収容の期間は、これを更新することができない。
6 裁判官が第四十三条第一項の請求により、第一項第一号の措置をとつた
場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その措置は、
これを第一項第一号の措置とみなす。
7 裁判官が第四十三条第一項の請求により第一項第二号の措置をとつた
場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その措置は、これを
第一項第二号の措置とみなす。この場合には、第三項の期間は、家庭裁判所が
事件の送致を受けた日から、これを起算する。
8 観護の措置は、決定をもつて、これを取り消し、又は変更することが
できる。
9 第一項第二号の措置については、収容の期間は、通じて八週間を超える
ことができない。ただし、その収容の期間が通じて四週間を超えることとなる
決定を行うときは、第四項ただし書に規定する事由がなければならない。
10 裁判長は、急速を要する場合には、第一項及び第八項の処分をし、
又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
(異議の申立て)
第十七条の二 少年、その法定代理人又は付添人は、前条第一項第二号又は
第三項ただし書の決定に対して、保護事件の係属する家庭裁判所に異議の
申立てをすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の
明示した意思に反して、異議の申立てをすることができない。
2 前項の異議の申立ては、審判に付すべき事由がないことを理由としてする
ことはできない。
3 第一項の異議の申立てについては、家庭裁判所は、合議体で決定を
しなければならない。この場合において、その決定には、原決定に関与した
裁判官は、関与することができない。
4 第三十二条の三、第三十三条及び第三十四条の規定は、第一項の異議の
申立てがあつた場合について準用する。この場合において、第三十三条第二項
中「取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に
移送しなければならない」とあるのは、「取り消し、必要があるときは、
更に裁判をしなければならない」と読み替えるものとする。
(特別抗告)
第十七条の三 第三十五条第一項の規定は、前条第三項の決定について
準用する。この場合において、第三十五条第一項中「二週間」とあるのは、
「五日」と読み替えるものとする。
2 前条第四項及び第三十二条の二の規定は、前項の規定による抗告があつた
場合について準用する。
(少年鑑別所送致の場合の仮収容)
第十七条の四 家庭裁判所は、第十七条第一項第二号の措置をとつた場合に
おいて、直ちに少年鑑別所に収容することが著しく困難であると認める事情が
あるときは、決定をもつて、少年を仮に最寄りの少年院又は刑事施設の特
に区別した場所に収容することができる。ただし、その期間は、
収容した時から七十二時間を超えることができない。
2 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、
又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
3 第一項の規定による収容の期間は、これを第十七条第一項第二号の措置に
より少年鑑別所に収容した期間とみなし、同条第三項の期間は、少年院又は
刑事施設に収容した日から、これを起算する。
4 裁判官が第四十三条第一項の請求のあつた事件につき、
第一項の収容をした場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、
その収容は、これを第一項の規定による収容とみなす。」
Ⅳ と、ここまで書いたところで、今日は時間がなくなってきてしまいました。
少年審判所において保護処分を決定する手続の続きについては、
明日ご説明します。
少年審判所における保護処分を決定するための手続をご説明します。
Ⅰ 第1に、旧法の第36条には次のような規定がありました。
「第三十六條 少年審判所ハ必要ニ依リ何時ニテモ少年保護司ヲシテ本人ヲ
同行シセシムルコトヲ得」
これと似た規定は、以下に引用する現行法の第11条から第13条までに
あります。
「(呼出、同行)
第十一条 家庭裁判所は、事件の調査又は審判について必要があると
認めるときは、少年又は保護者に対して、呼出状を発することができる。
2 家庭裁判所は、正当の理由がなく前項の呼出に応じない者に対して、
同行状を発することができる。
(緊急の場合の同行)
第十二条 家庭裁判所は、少年が保護のため緊急を要する状態にあつて、
その福祉上必要であると認めるときは、前条第二項の規定にかかわらず、
その少年に対して、同行状を発することができる。
2 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、
又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
(同行状の執行)
第十三条 同行状は、家庭裁判所調査官がこれを執行する。
2 家庭裁判所は、警察官、保護観察官又は裁判所書記官をして、
同行状を執行させることができる。
3 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、又は合議体の
構成員にこれをさせることができる。」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000168
ただし、現行法は、同行状を発する前に呼出状を発することを
家裁に義務づけています。
Ⅱ 第2に、旧法の第37条から第39条までには以下のような規定がありました。
「第三十七條 少年審判所ハ事情ニ従ヒ本人ニ對」(たい)「シ假」(かり)ニ
左」(さ)「ノ處分」(しょぶん)「ヲ爲スコトヲ得
一 條件ヲ附シ又ハ附セスシテ保護者ニ預クルコト
二 寺院、教會、保護團體」(だんたい)「又は適當ナル者ニ
預クルコト
三 病院ニ委託スルコト
四 少年保護司ノ観察ニ付スルコト
已」(や)「ムコトヲ得サル場合ニ於」(おい)「テハ本人ヲ
假」(かり)ニ感化院又ハ矯正院ニ委託スルコトヲ得
第一項第一號」(ごう)」「乃至」(ないし)「第三號ノ處分アリタルトキハ
本人ヲ少年保護司ノ観察ニ付ス
第三十八條 前條ノ處分ハ何時ニテモ之ヲ取消シ又ハ變更」(へんこう)
「 スルコトヲ得
第三十九條 前三條ノ場合ニ於テハ速」(すみやか)「ニ其」(そ)
「ノ旨」(むね)ヲ保護者ニ通知スヘシ」
現行法には、このような「仮の保護処分」に関する規定はありません。
ですが、旧法第37条第1項の第一号(一の箇所)から第四号(四の箇所)
および第3項(「第一項」から「付す」の箇所)に似ている現行法の規定として、
次のような第25条の規定があります。
「第二十五条 家庭裁判所は、第二十四条第一項の保護処分を決定するため
必要があると認めるときは、決定をもつて、相当の期間、家庭裁判所調査官の
観察に付することができる。
2 家庭裁判所は、前項の観察とあわせて、次に掲げる措置をとることが
できる。
一 遵守事項を定めてその履行を命ずること。
二 条件を附けて保護者に引き渡すこと。
三 適当な施設、団体又は個人に補導を委託すること。」
そして、現行法そのものには規定がないのですが、少年審判規則
第40条第6項には、現行法第25条の「家庭裁判所調査官の観察に付する
決定は、いつでも、取り消し又は変更することができる。」と規定されて
います。
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/20150601syounenshinpankisoku.pdf
Ⅲ また、現行法では少年を仮に児童自立支援施設や少年院に委託すること
が認められていないのは、以下のような観護措置に関する規定があるからです。
「(観護の措置)
第十七条 家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもつて、
次に掲げる観護の措置をとることができる。
一 家庭裁判所調査官の観護に付すること。
二 少年鑑別所に送致すること。
2 同行された少年については、観護の措置は、遅くとも、到着のときから
二十四時間以内に、これを行わなければならない。検察官又は司法警察員から
勾留又は逮捕された少年の送致を受けたときも、同様である。
3 第一項第二号の措置においては、少年鑑別所に収容する期間は、二週間を
超えることができない。ただし、特に継続の必要があるときは、
決定をもつて、これを更新することができる。
4 前項ただし書の規定による更新は、一回を超えて行うことができない。
ただし、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る死刑、懲役又は禁錮こに
当たる罪の事件でその非行事実(犯行の動機、態様及び結果その他の当該
犯罪に密接に関連する重要な事実を含む。以下同じ。)の認定に関し
証人尋問、鑑定若しくは検証を行うことを決定したもの又はこれを
行つたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じる
おそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合には、その更新は、
更に二回を限度として、行うことができる。
5 第三項ただし書の規定にかかわらず、検察官から再び送致を受けた事件が
先に第一項第二号の措置がとられ、又は勾留状が発せられた事件であるときは、収容の期間は、これを更新することができない。
6 裁判官が第四十三条第一項の請求により、第一項第一号の措置をとつた
場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その措置は、
これを第一項第一号の措置とみなす。
7 裁判官が第四十三条第一項の請求により第一項第二号の措置をとつた
場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その措置は、これを
第一項第二号の措置とみなす。この場合には、第三項の期間は、家庭裁判所が
事件の送致を受けた日から、これを起算する。
8 観護の措置は、決定をもつて、これを取り消し、又は変更することが
できる。
9 第一項第二号の措置については、収容の期間は、通じて八週間を超える
ことができない。ただし、その収容の期間が通じて四週間を超えることとなる
決定を行うときは、第四項ただし書に規定する事由がなければならない。
10 裁判長は、急速を要する場合には、第一項及び第八項の処分をし、
又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
(異議の申立て)
第十七条の二 少年、その法定代理人又は付添人は、前条第一項第二号又は
第三項ただし書の決定に対して、保護事件の係属する家庭裁判所に異議の
申立てをすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の
明示した意思に反して、異議の申立てをすることができない。
2 前項の異議の申立ては、審判に付すべき事由がないことを理由としてする
ことはできない。
3 第一項の異議の申立てについては、家庭裁判所は、合議体で決定を
しなければならない。この場合において、その決定には、原決定に関与した
裁判官は、関与することができない。
4 第三十二条の三、第三十三条及び第三十四条の規定は、第一項の異議の
申立てがあつた場合について準用する。この場合において、第三十三条第二項
中「取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に
移送しなければならない」とあるのは、「取り消し、必要があるときは、
更に裁判をしなければならない」と読み替えるものとする。
(特別抗告)
第十七条の三 第三十五条第一項の規定は、前条第三項の決定について
準用する。この場合において、第三十五条第一項中「二週間」とあるのは、
「五日」と読み替えるものとする。
2 前条第四項及び第三十二条の二の規定は、前項の規定による抗告があつた
場合について準用する。
(少年鑑別所送致の場合の仮収容)
第十七条の四 家庭裁判所は、第十七条第一項第二号の措置をとつた場合に
おいて、直ちに少年鑑別所に収容することが著しく困難であると認める事情が
あるときは、決定をもつて、少年を仮に最寄りの少年院又は刑事施設の特
に区別した場所に収容することができる。ただし、その期間は、
収容した時から七十二時間を超えることができない。
2 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、
又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
3 第一項の規定による収容の期間は、これを第十七条第一項第二号の措置に
より少年鑑別所に収容した期間とみなし、同条第三項の期間は、少年院又は
刑事施設に収容した日から、これを起算する。
4 裁判官が第四十三条第一項の請求のあつた事件につき、
第一項の収容をした場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、
その収容は、これを第一項の規定による収容とみなす。」
Ⅳ と、ここまで書いたところで、今日は時間がなくなってきてしまいました。
少年審判所において保護処分を決定する手続の続きについては、
明日ご説明します。
コメント