昨日のブログに続き、今日も、
少年審判所における保護処分を決定するための手続をご説明します。

Ⅰ 第1に、旧法では、「少年審判所ニ於」(おい)「テ保護処分ヲ爲スヘキ
少年アルコトヲ認知シタル者ハ之ヲ少年審判所又ハ其ノ職員ニ
通告スヘシ」と規定されていました(旧法第29条)と規定されていました。
 これと似ている規定は、現行法第6条第1項にもあります。それによりますと、
「家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見した者は、
これを家庭裁判所に通告しなければならない。」↓と規定されています。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000168
 ただし、現行法第6条第2項では「警察官又は保護者は、
第三条第一項第三号に掲げる少年について、直接これを家庭裁判所に送致し、
又は通告するよりも、先づ児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)
による措置にゆだねるのが適当であると認めるときは、
その少年を直接児童相談所に通告することができる。」と規定↓されています。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000168
 つまり、現行法では、虞犯少年については、警察官又は保護者に対して、
家裁への通告又は通告と児童相談所への通告を選択できる権利を
認めています。

Ⅱ 第2に、話を旧法に戻しますと、
第29条の「通告ヲ爲スニハ其ノ事由ヲ開示シ成ルヘク本人及其ノ
保護者ノ氏名、住所、年齢、職業、性行」(せいこう)「等ヲ申立テ且」(かつ)「参考ト爲ルヘキ資料ヲ差出スヘシ」と規定されていました(旧法第30条)。
 ですから、旧法第29条によりますと、「刑罰法令ニ觸ルル行為ヲ爲シ
又ハ刑罰法令ニ觸ルル行為ヲ爲ス虞ノアル少年」を発見した者は誰でも、
その少年を少年審判所に通告すべきとされていたのですが、
そのためにはその事由を開示し、少年本人と保護者の氏名・住所・年齢
だけでなく職業や性行を申し立て、しかも参考資料を差し出さなければ
ならなかったのですから、実際には通告をするのはかなり難しかったのでは
ないかと思われます。
 なお、Ⅰでもご紹介しましたように、現行法でも一般人に対して、
非行少年を家裁に通告する義務を課しています。この「一般人による
通告」の方式については、現行法上では特段の規定を設けてはいませんが、
少年法を具体化するために最高裁が定めた少年審判規則第9条第1項には
以下のように規定されています。
 「家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見した者は、
家庭裁判所に通告するには、審判に付すべき事由のほか、なるべく、
少年及び保護者の氏名、年齢、職業及び住居(保護者が法人である場合に
おいては、その名称又は商号及び主たる事務所又は本店の所在地)並びに
少年の本籍を明らかにしなければならない。」
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/20150601syounenshinpankisoku.pdf
 つまり、少年審判規則によりますと、一般人による通告を行うためには、
少年又は保護者の性行を明らかにしたり参考資料を差し出したりする義務は
ないことになります。

Ⅲ 第3に、話を再び旧法に戻しますと、「通告ハ書面又ハ口頭ヲ以」(も)
「テコレヲ爲スコトヲ得口頭ノ通告アリタル場合ニ於テハ少年審判所ノ職員
其ノ申立ヲ録取スヘシ」と規定されていました(旧法第30条第2項)。
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/20150601syounenshinpankisoku.pdf
 これと似ている規定は少年審判規則第9条第2項↑にもあります。
それによりますと、「前項の通告は、書面又は口頭ですることができる。
口頭の通告があつた場合には、家庭裁判所調査官又は裁判所書記官は、
これを調書に記載する。」と規定されています。

Ⅳ と、ここまで書いたところで、今日は時間がなくなってきて
しまいました。少年審判所において保護処分を決定するための手続の
続きについては、明日ご説明することとします。








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