昨日お約束した通り、今日は、
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対する残り2つのハードルについてご説明します。
1)略式手続(刑事訴訟法第460条~第470条)
その第1は、略式手続です。略式手続については、
刑事訴訟法第460条から第470条までに規定されています。↓
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000131
特に、刑事訴訟法第460条によりますと、
「簡易裁判所は、検察官の請求により、
その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、
百万円以下の罰金又は科料を科することができる。
この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、
その他付随の処分をすることができる。」のです。
(なお、科料(かりょう)というのは刑の一種(刑法第9条)でして、
「千円以上一万円未満」(刑法第17条)の金額のお金を国に納めればいいという、
我が国の現行刑法の上ではもっとも軽い刑です(刑法第10条第1項)。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045
また、「簡易裁判所の管轄に属する事件」とは、
「罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は
刑法第百八十六条、第二百五十二条若しくは 第二百五十六条の罪に係る
訴訟」のことです(裁判所法第33条第1項第2号)↓。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000059)
この略式手続も、かなり活用されています。
たとえば、2019年度でも、199,759人もの人たちが、
略式手続で罰金刑か科料刑を言い渡されています(注1)。↓
https://www.moj.go.jp/content/001338445.pdf
罰金刑や科料刑は、お金を国に納めれば済んでしまう刑です。
ですから、20万人近くもの成人が、有罪を認定されながらも、
お金を国に納めるだけで済まされているのです。
これでは、「厳しく扱われている」とは思われない方も、
少なくないと思います。
2)刑の全部の執行猶予(刑法第25条~第27条)
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対する最後のハードルは、
刑の全部の執行猶予です。これについては、
刑法第25条から第27条までに規定されています。↓
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045
刑の全部の執行猶予も、大いに活用されています。
https://www.moj.go.jp/content/001338445.pdf
例えば、↑2019年度に裁判が確定した人数245,537人について見ますと、
有期懲役が確定した人46,086人のうち実に28,044人つまり率に換算すると
60.9%、有期禁錮が確定した人3,076人のうち実に3,021人
つまり率に換算すると98.2%が、刑の全部の執行を猶予されています(注2)。
そして、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなく
その猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、
効力を失う」のです(刑法第27条)。
つまり、刑の執行を猶予されている期間をおとなしく過ごせば、
刑の言い渡しはなかったことにされる、
言い換えると刑務所に行かずに済むのです。
これでは「厳しく扱われている」とは言い難いでしょう。
長くなりました。昨日のブログからこれまでの内容を要約しますと、
「仮に旧少年法のように18歳以上を大人扱いしても、
それらの者が罪を犯した場合、
微罪処分・起訴猶予・略式手続・執行猶予という制度があるので、
厳しく扱われないことが多い」ということになります。
以上ここまでで、旧少年法の特徴として、
現行少年法と比較して一番分かりやすい、
対象年齢が18歳未満であることをご説明しました。
ですが、旧少年法の特徴は他にもまだ色々あります。
しかし残念ながら、今日も時間がなくなってしまいましたので、
その特徴についてご説明することはできません。
しかも、明日・明後日と忙しいのです。
ですから、旧少年法の別の特徴についての説明をするのは、
今度の土曜日つまり12/4にさせていただきます、
(注1)法務省法務総合研究所編『令和2年版犯罪白書』40頁。
(注2)法務省法務総合研究所編・前掲書36頁。
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対する残り2つのハードルについてご説明します。
1)略式手続(刑事訴訟法第460条~第470条)
その第1は、略式手続です。略式手続については、
刑事訴訟法第460条から第470条までに規定されています。↓
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000131
特に、刑事訴訟法第460条によりますと、
「簡易裁判所は、検察官の請求により、
その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、
百万円以下の罰金又は科料を科することができる。
この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、
その他付随の処分をすることができる。」のです。
(なお、科料(かりょう)というのは刑の一種(刑法第9条)でして、
「千円以上一万円未満」(刑法第17条)の金額のお金を国に納めればいいという、
我が国の現行刑法の上ではもっとも軽い刑です(刑法第10条第1項)。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045
また、「簡易裁判所の管轄に属する事件」とは、
「罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は
刑法第百八十六条、第二百五十二条若しくは 第二百五十六条の罪に係る
訴訟」のことです(裁判所法第33条第1項第2号)↓。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000059)
この略式手続も、かなり活用されています。
たとえば、2019年度でも、199,759人もの人たちが、
略式手続で罰金刑か科料刑を言い渡されています(注1)。↓
https://www.moj.go.jp/content/001338445.pdf
罰金刑や科料刑は、お金を国に納めれば済んでしまう刑です。
ですから、20万人近くもの成人が、有罪を認定されながらも、
お金を国に納めるだけで済まされているのです。
これでは、「厳しく扱われている」とは思われない方も、
少なくないと思います。
2)刑の全部の執行猶予(刑法第25条~第27条)
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対する最後のハードルは、
刑の全部の執行猶予です。これについては、
刑法第25条から第27条までに規定されています。↓
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045
刑の全部の執行猶予も、大いに活用されています。
https://www.moj.go.jp/content/001338445.pdf
例えば、↑2019年度に裁判が確定した人数245,537人について見ますと、
有期懲役が確定した人46,086人のうち実に28,044人つまり率に換算すると
60.9%、有期禁錮が確定した人3,076人のうち実に3,021人
つまり率に換算すると98.2%が、刑の全部の執行を猶予されています(注2)。
そして、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなく
その猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、
効力を失う」のです(刑法第27条)。
つまり、刑の執行を猶予されている期間をおとなしく過ごせば、
刑の言い渡しはなかったことにされる、
言い換えると刑務所に行かずに済むのです。
これでは「厳しく扱われている」とは言い難いでしょう。
長くなりました。昨日のブログからこれまでの内容を要約しますと、
「仮に旧少年法のように18歳以上を大人扱いしても、
それらの者が罪を犯した場合、
微罪処分・起訴猶予・略式手続・執行猶予という制度があるので、
厳しく扱われないことが多い」ということになります。
以上ここまでで、旧少年法の特徴として、
現行少年法と比較して一番分かりやすい、
対象年齢が18歳未満であることをご説明しました。
ですが、旧少年法の特徴は他にもまだ色々あります。
しかし残念ながら、今日も時間がなくなってしまいましたので、
その特徴についてご説明することはできません。
しかも、明日・明後日と忙しいのです。
ですから、旧少年法の別の特徴についての説明をするのは、
今度の土曜日つまり12/4にさせていただきます、
(注1)法務省法務総合研究所編『令和2年版犯罪白書』40頁。
(注2)法務省法務総合研究所編・前掲書36頁。
コメント