旧少年法制定100年直前記念連載・旧少年法のあらまし-1.旧少年法の対象年齢(2)
2021年11月30日 学校・勉強おととい(11/28)お約束した通り、今日は、現代の18歳を、
旧少年法の時代の18歳と同様に大人扱いすることには賛成できない
より実質的な理由をご説明します。
冒頭にその理由をご説明すると、
「18歳を大人扱いすると、彼ら・彼女たちが罪を犯した場合に
厳しく処罰し責任を問うことにはならないことが多い」ということです。
どうしてこんなことを言うのかと言いますと、
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対して以下にご説明するようなハードルが
あるからです。
1)微罪(びざい)処分(刑事訴訟法第246条ただし書)
第1のハードルは、微罪処分です。これは、
「刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)246条ただし書に基づき,
検察官があらかじめ指定した犯情の特に軽微な成人による事件について,
司法警察員が,検察官に送致しない手続を執ること」です。
https://www.moj.go.jp/content/001338445.pdf
なお、ご参考までに刑事訴訟法第246条ただし書きにつきましては、
↓以下に貼るリンクをご覧になって下さい。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000131
話がそれましたが、微罪処分の手続きが執られますと、
事件は検察官に送致されませんから、
検察官はこれを裁判所に起訴することができません。
つまり、微罪処分の執られた事件は、警察限りで終わってしまうのです。
そして、2021年に微罪処分により処理された人員は,5万5,764人で、
そのうち刑法犯では,微罪処分により処理された人員は5万5,754人であり,
全検挙人員に占める比率は28.9%です(注1)
なお、「刑法犯」の意味については、
以下のリングをご覧になって下さい。
https://www.moj.go.jp/content/001338442.pdf
また「検挙」とは被疑者(マスコミでは容疑者と呼ばれます)を
特定することです、
いずれにせよ、微罪処分により、5万6千人近くもの人が、
罪を犯した疑いを持たれながらも、警察限りで放免されてしまうのです。
2)起訴猶予(刑事訴訟法第248条)
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対する第2のハードルは、起訴猶予です。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000131
起訴猶予については、↑刑事訴訟法第248条によって、
「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により
訴追」(そつい)「を必要としないときは、
公訴を提起しないことができる」と規定されています。
この起訴猶予制度は、大変活用されています。
なぜなら、2019年度における検察官終局人員総数のうちの起訴猶予率は
64.5%、刑法犯の起訴猶予率は51.7%、
道交法違反を除く特別法犯の起訴猶予率は45.4%なのです(注2)。
https://www.moj.go.jp/content/001338445.pdf
そして、起訴猶予は少年に対しては行うことができません。
ですから、仮に18~9歳の者を成人扱いすると、
起訴猶予が可能になるので、彼ら・彼女らが罪を犯した疑いを持たれても、
そのかなりの部分は起訴猶予で終わってしまうであろうと予想できるのです。
そして、私が思うに、今度の少年法「改正」に際して、
少年法適用年齢を単純に18歳未満の者に引き下げる案が採用されなかった
一つの理由は、起訴猶予制度が活用されていることにあるのでしょう。
長くなりました。実のことを言うと、
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対するハードルは更に2つあります。
しかし残念ながら、今日は時間がなくなってしまいました。
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対する残り2つのハードルについては、
明日ご説明します。
(注1)法務省法務総合研究所編『令和2年版犯罪白書』30頁。
(注2)法務省法務総合研究所編・前掲書34頁。
旧少年法の時代の18歳と同様に大人扱いすることには賛成できない
より実質的な理由をご説明します。
冒頭にその理由をご説明すると、
「18歳を大人扱いすると、彼ら・彼女たちが罪を犯した場合に
厳しく処罰し責任を問うことにはならないことが多い」ということです。
どうしてこんなことを言うのかと言いますと、
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対して以下にご説明するようなハードルが
あるからです。
1)微罪(びざい)処分(刑事訴訟法第246条ただし書)
第1のハードルは、微罪処分です。これは、
「刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)246条ただし書に基づき,
検察官があらかじめ指定した犯情の特に軽微な成人による事件について,
司法警察員が,検察官に送致しない手続を執ること」です。
https://www.moj.go.jp/content/001338445.pdf
なお、ご参考までに刑事訴訟法第246条ただし書きにつきましては、
↓以下に貼るリンクをご覧になって下さい。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000131
話がそれましたが、微罪処分の手続きが執られますと、
事件は検察官に送致されませんから、
検察官はこれを裁判所に起訴することができません。
つまり、微罪処分の執られた事件は、警察限りで終わってしまうのです。
そして、2021年に微罪処分により処理された人員は,5万5,764人で、
そのうち刑法犯では,微罪処分により処理された人員は5万5,754人であり,
全検挙人員に占める比率は28.9%です(注1)
なお、「刑法犯」の意味については、
以下のリングをご覧になって下さい。
https://www.moj.go.jp/content/001338442.pdf
また「検挙」とは被疑者(マスコミでは容疑者と呼ばれます)を
特定することです、
いずれにせよ、微罪処分により、5万6千人近くもの人が、
罪を犯した疑いを持たれながらも、警察限りで放免されてしまうのです。
2)起訴猶予(刑事訴訟法第248条)
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対する第2のハードルは、起訴猶予です。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000131
起訴猶予については、↑刑事訴訟法第248条によって、
「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により
訴追」(そつい)「を必要としないときは、
公訴を提起しないことができる」と規定されています。
この起訴猶予制度は、大変活用されています。
なぜなら、2019年度における検察官終局人員総数のうちの起訴猶予率は
64.5%、刑法犯の起訴猶予率は51.7%、
道交法違反を除く特別法犯の起訴猶予率は45.4%なのです(注2)。
https://www.moj.go.jp/content/001338445.pdf
そして、起訴猶予は少年に対しては行うことができません。
ですから、仮に18~9歳の者を成人扱いすると、
起訴猶予が可能になるので、彼ら・彼女らが罪を犯した疑いを持たれても、
そのかなりの部分は起訴猶予で終わってしまうであろうと予想できるのです。
そして、私が思うに、今度の少年法「改正」に際して、
少年法適用年齢を単純に18歳未満の者に引き下げる案が採用されなかった
一つの理由は、起訴猶予制度が活用されていることにあるのでしょう。
長くなりました。実のことを言うと、
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対するハードルは更に2つあります。
しかし残念ながら、今日は時間がなくなってしまいました。
現在20歳以上の人たちが罪を犯した(とされた場合)、
刑務所に拘置されることに対する残り2つのハードルについては、
明日ご説明します。
(注1)法務省法務総合研究所編『令和2年版犯罪白書』30頁。
(注2)法務省法務総合研究所編・前掲書34頁。
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