昨日お約束した通り、本日から、
1922年に制定された旧少年法のあらましを、
形式的にはその改正として1948年に成立した現行少年法と比較する形で、
ご説明することといたします。
なお、そのご説明に際して、旧少年法の条文は「旧法X条」と、
現行少年法の条文は「現行法Y条」と、それぞれ略記することといたします。

本日は、旧少年法のあらましについてのご説明の第1回として、
旧少年法の対象となった少年の年齢の範囲についてご説明します。

旧少年法における「少年」とは、「十八歳ニ満タザル者」(旧法第1条)、
つまり18歳未満の者でした。
これに対して現行少年法における「少年」とは、
ご存知の方も少なくないと思いますが、
「二十歳に満たない者」(現行法第2条第1項)、↓つまり20歳未満の者です。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000168
以上のご説明だけをお読みになった方には、
「満18歳となればもう十分大人だ。だから大人として扱い、
罪を犯した場合には厳しく刑罰を科しその責任を問うべきであり、
そういう意味で旧少年法の方が正しい」と思われた方も多いでしょう。
しかし、このご意見には、以下に挙げる2つの理由で、賛成できません。

第1の理由は、旧少年法が制定された時代が、
昨日のブログをご覧になればお分かりの通り、
20世紀の前半であることと関連します。
というのは、この時代においては、「1935年の旧制中学校、実業学校、
高等女学校の進学率は18.5%に過ぎなかった」のです。↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A7%E5%88%B6%E4%B8%AD%E7%AD%89%E6%95%99%E8%82%B2%E5%AD%A6%E6%A0%A1
ですから、この時代に尋常小学校(1941年以降は国民学校)を
卒業した人たちの圧倒的大多数は、
工場での単純労働や商店での丁稚奉公や子守りとしてであれ
働いていましたので、18歳は十分に大人だったのです。
これに対して現代の18歳はどうでしょうか?
18歳は高校3年生か大学・短大1年生に当たります。
2019年度の大学・短大への進学率は、18歳人口の58.1%にのぼり、
これに高専4年次と専門学校への進学率を足すと、
18歳人口の実に82.8%にものぼります。
https://www.mext.go.jp/content/20201126-mxt_daigakuc02-000011142_9.pdf
つまり現在では、18歳の人たちの80%以上が何らかの学校に
所属しているのです。
そして、高校を卒業した後にすぐ就職した人たちの大部分も、
見習い程度の仕事しかさせてもらえないのではないでしょうか。
ですから、現代における18歳は、
旧少年法が制定された頃の18歳と比べると、
大人ではないと言えると思います。
このため、現代の18歳を、
旧少年法の時代の18歳と同様に大人扱いすることには賛成できません。

しかし、現代の18歳を、
旧少年法の時代の18歳と同様に大人扱いすることには賛成できない
より実質的な理由があります。
でも、今日は疲れてしまったので、
その理由をご説明することはできません。
明日は忙しいので、このご説明は、
明後日(30日)に行わせていただかざるを得ません。

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