http://www.sankei.com/west/news/160602/wst1606020032-n1.html
引用した記事にもあるように、
「抗告」というのは裁判所が言い渡した「決定」または「命令」に対する
不服申立ての手段でして、
通常の刑事裁判や民事裁判での「控訴」に対応します。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%97%E5%91%8A
これは、少年法第三十三条第二項の規定を根拠としています。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO168.html#1000000000002000000004000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
つまり、抗告審は、家裁の決定が明らかに間違えていたと判断しても、
自判する、つまり自ら判断を下して違う決定を言い渡すことはできないのです。
刑事裁判(刑事訴訟法第四百条)や
民事裁判(民事訴訟法第三百四条)の控訴審では、自判は認められています。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html#1003000000002000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H08/H08HO109.html#1003000000001000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
少年事件の抗告審で自判が認められていないのは、
犯罪や触法の「事実が認められない場合にも、
保護・教育の観点から虞犯として扱う必要性を家裁に判断させる
実益は考えられる」からです(注1)。
しかし「事実関係が争われ、人違いなどで非行事実が認められないため
保護処分が取り消されない場合などには、
速やかに少年を手続から解放するためにも自判制度を認める
必要性・合理性がある」という意見(注2)が大勢を占めています。
そして、私も、人違いの場合などには自判を認めるべきだと思います。
だとすると、「重大な事実の誤認」(少年法第三十二条)を理由とした抗告です。
この点について、抗告審である名古屋高裁がどう判断するか、
大いに注目されます。
(注1)田宮裕=廣瀬健二編『注釈少年法(第3版)』(有斐閣、2009年)403頁。
(注2)田宮=廣瀬編・前掲書。
昨年9月に三重県伊勢市の山林で
高校3年の女子生徒が刺殺された事件で、
津家裁から初等・中等(第1種)少年院送致とする保護処分決定を受けた
元同級生の少年(18)が、
決定を不服として名古屋高裁に抗告していたことが2日、
分かった。
引用した記事にもあるように、
「抗告」というのは裁判所が言い渡した「決定」または「命令」に対する
不服申立ての手段でして、
通常の刑事裁判や民事裁判での「控訴」に対応します。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%97%E5%91%8A
抗告審は非公開で、
少年側の主張が認められれば決定が取り消され、
審理が津家裁に差し戻される。
これは、少年法第三十三条第二項の規定を根拠としています。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO168.html#1000000000002000000004000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
つまり、抗告審は、家裁の決定が明らかに間違えていたと判断しても、
自判する、つまり自ら判断を下して違う決定を言い渡すことはできないのです。
刑事裁判(刑事訴訟法第四百条)や
民事裁判(民事訴訟法第三百四条)の控訴審では、自判は認められています。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html#1003000000002000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H08/H08HO109.html#1003000000001000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
少年事件の抗告審で自判が認められていないのは、
犯罪や触法の「事実が認められない場合にも、
保護・教育の観点から虞犯として扱う必要性を家裁に判断させる
実益は考えられる」からです(注1)。
しかし「事実関係が争われ、人違いなどで非行事実が認められないため
保護処分が取り消されない場合などには、
速やかに少年を手続から解放するためにも自判制度を認める
必要性・合理性がある」という意見(注2)が大勢を占めています。
そして、私も、人違いの場合などには自判を認めるべきだと思います。
少年は捜査段階では刺したことを認めていたが、
少年審判では「記憶がない」と主張。
関係者によると現在は「刺していない」と否認しており、
事実認定を争うとみられる。
だとすると、「重大な事実の誤認」(少年法第三十二条)を理由とした抗告です。
この点について、抗告審である名古屋高裁がどう判断するか、
大いに注目されます。
(注1)田宮裕=廣瀬健二編『注釈少年法(第3版)』(有斐閣、2009年)403頁。
(注2)田宮=廣瀬編・前掲書。
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