著作権侵害で出版差し止め命じる仮処分 (NHK)
2015年10月28日 時事ニュース コメント (2)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151028/k10010285481000.html
以下に引用する出版の差し止めを命じられた出版物の名前を見て、
びっくりされる方もいると思います。
そうです。よりにもよって「著作権」に関する専門雑誌が、
著作権侵害で出版差し止めを命じられたのです!!
ただ、「有斐閣」と「判例百選」という言葉に接したことのない
方も少なくないと思われますので、
これらの言葉についてご説明します。
まず「有斐閣」(ゆうひかく)は、
東京都千代田区神田神保町2丁目17番地に本社を置く、
「社会科学・人文科学系を主要分野」とする出版社ですが、
特に法律関係の出版社としては最大手です。
http://www.yuhikaku.co.jp/static/company/index.html
そして、「判例百選」は、
憲法・民法・刑法をはじめとする重要な法分野について
判例を100ほど選び、
学者や実務家(弁護士・検察官・裁判官)が要旨(おおまかな内容)と
解説を書くという雑誌でして、
法の学習・研究・実務に際しては必需品です。
http://www.yuhikaku.co.jp/hyakusen/1025010
そして、実は「少年法判例百選」↑というのもありまして、
編者を務められた故・田宮裕(たみや・ひろし)博士のご厚意で、
何とこの私も1本だけ、ある判例の解説を書かせていただきました。
ただ、「少年法判例百選」は現在品切れとなっていますので、
残念ながらご購入になれません。
もし「少年法判例百選」をお読みになりたいのでしたら、
国立国会図書館、法学部のある大学の図書館、
都道府県立図書館、または、
ある程度大きな都市の公立図書館に行っていただくしかありません。
ちなみに、埼玉県立図書館にはあります。↓
https://www.lib.pref.saitama.jp/licsxp-opac/WOpacTifTilListToTifTilDetailAction.do?urlNotFlag=1
また、川越市立図書館にもあります。↓
http://cross.lib.pref.saitama.jp/
前置きが長くなりすぎました。
話を『著作権判例百選』に関するこのニュースに戻します。
大渕教授の主張にも、
有斐閣側の反論のどちらにも一定の説得力を感じます。
確かに異例です。
おそらく有斐閣は(決定に対する不服申し立てである)抗告を
申し立てるでしょう。東京高裁のこの事件に対する判断が注目されます。
いや、表現の自由に関わる問題を含んでいるので最高裁まで行くでしょうから、
最高裁の判断も注目されます。
しかし、有斐閣は『著作権判例百選』の次の版に、
この事件に関する判例を載せるのでしょうか?
自らが被告となった事件の判例を載せるのは、
相当勇気がいると思います。
もっとも、載せたとしても、
原告である大渕教授が解説を書くことは、
まずあり得ないと思います。
以下に引用する出版の差し止めを命じられた出版物の名前を見て、
びっくりされる方もいると思います。
出版の差し止めが命じられたのは、
東京・千代田区にある「有斐閣」の専門雑誌
「著作権判例百選」の改訂版です。
そうです。よりにもよって「著作権」に関する専門雑誌が、
著作権侵害で出版差し止めを命じられたのです!!
ただ、「有斐閣」と「判例百選」という言葉に接したことのない
方も少なくないと思われますので、
これらの言葉についてご説明します。
まず「有斐閣」(ゆうひかく)は、
東京都千代田区神田神保町2丁目17番地に本社を置く、
「社会科学・人文科学系を主要分野」とする出版社ですが、
特に法律関係の出版社としては最大手です。
http://www.yuhikaku.co.jp/static/company/index.html
そして、「判例百選」は、
憲法・民法・刑法をはじめとする重要な法分野について
判例を100ほど選び、
学者や実務家(弁護士・検察官・裁判官)が要旨(おおまかな内容)と
解説を書くという雑誌でして、
法の学習・研究・実務に際しては必需品です。
http://www.yuhikaku.co.jp/hyakusen/1025010
そして、実は「少年法判例百選」↑というのもありまして、
編者を務められた故・田宮裕(たみや・ひろし)博士のご厚意で、
何とこの私も1本だけ、ある判例の解説を書かせていただきました。
ただ、「少年法判例百選」は現在品切れとなっていますので、
残念ながらご購入になれません。
もし「少年法判例百選」をお読みになりたいのでしたら、
国立国会図書館、法学部のある大学の図書館、
都道府県立図書館、または、
ある程度大きな都市の公立図書館に行っていただくしかありません。
ちなみに、埼玉県立図書館にはあります。↓
https://www.lib.pref.saitama.jp/licsxp-opac/WOpacTifTilListToTifTilDetailAction.do?urlNotFlag=1
また、川越市立図書館にもあります。↓
http://cross.lib.pref.saitama.jp/
前置きが長くなりすぎました。
話を『著作権判例百選』に関するこのニュースに戻します。
以前、編集に加わっていた東京大学の大渕哲也教授は
「改訂にあたって編集に関わる『編者』から自分の名前が外されたのは
著作権の侵害だ」として出版の差し止めを求める仮処分を申し立て、
会社側は「出版の差し止めは表現の自由という観点から
深刻な問題が生じる」などと反論していました。
大渕教授の主張にも、
有斐閣側の反論のどちらにも一定の説得力を感じます。
東京地方裁判所が申し立てを認め、
改訂版の出版の差し止めを命じる決定を出したことが
関係者への取材で分かりました。決定で嶋末和秀裁判長は
「改訂版は教授による編集の内容が相当程度盛り込まれていて、
名前を外したのは著作権の侵害に当たる」という判断を示しました。
専門家によりますと、著作権の侵害を理由とした出版の差し止めは
異例だということです。
確かに異例です。
おそらく有斐閣は(決定に対する不服申し立てである)抗告を
申し立てるでしょう。東京高裁のこの事件に対する判断が注目されます。
いや、表現の自由に関わる問題を含んでいるので最高裁まで行くでしょうから、
最高裁の判断も注目されます。
しかし、有斐閣は『著作権判例百選』の次の版に、
この事件に関する判例を載せるのでしょうか?
自らが被告となった事件の判例を載せるのは、
相当勇気がいると思います。
もっとも、載せたとしても、
原告である大渕教授が解説を書くことは、
まずあり得ないと思います。
コメント
まだ訴訟の結果が出たわけではありません。しかし、このような「リーガルリスク」があること自体は判例百選が出版される前からわかりそうなものですが・・・。今回のような「リーガルリスク」を有斐閣がどのように考えていたのかは気になるところですね。
コメントしていただき、ありがとうございます。
ご指摘の通り、
このような「リーガルリスク」を有斐閣がどのように考えていたか、
私も気になります。