http://www.asahi.com/articles/ASH4Z3J8VH4ZUTIL00L.html
科料9千円とした一、二審判決が確定する。
最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)が27日付の決定で、
被告の上告を退けた。

科料(かりょう)というのは主刑(単独で科すことのできる刑)の中で
最も軽いものです(刑法第9条・第10条第1項)。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html
科料は、1,000円以上10,000円未満のお金を国に納付する義務を
負わされる刑です(刑法第17条)。
したがって「科料9千円」というのは、
科料の中では比較的重い刑ということになります。
しかし、たかだか9千円納付させるためにはるばる最高裁まで行くなんて、
コストパフォーマンスが悪すぎるとも言えます。

もっとも、最高裁まで行ったことには、次のような事情があります。
この事件では、徳島地検が10年、
河野被告を不起訴(起訴猶予)としたが、
徳島検察審査会が「起訴すべきだ」と議決したため、
12年3月に強制起訴された。
昨年2月の二審・高松高裁判決によると、河野被告は09年7月、
徳島市内の飲食店で女性従業員の顔を左手で押す暴行を加えた。
被告は無罪を主張し、上告していた。

無罪を主張していたのなら、9千円の科料でも納付したくないでしょう。

なお、ご参考までに、2013年において、
科料を通常第一審で言い渡された人はわずか5人、
簡易裁判所での書面審理を意味する略式手続で言い渡された人は2,347人です。
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/61/nfm/images/full/h2-3-2-04.jpg
(「通常第一審」とは公判廷つまり公開の法廷で裁判を行う
公判手続により行われる手続のことです。
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/61/nfm/n61_2_2_1_0_2.html)

「科料を完納することができない者は、一日以上三十日以下の期間、
労役場に留置」されます(刑法第18条第2項)。
しかし、無一文の人ならともかく、
科料を完納できないという理由で労役場に留置された人が、
果たしてどれぐらいいるのでしょうか?


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