http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2015012502000072.html
過去最高の85・6%だった二〇〇九年の前回調査から
5・3ポイント減少した。
廃止を求めた人は前回より4ポイント増の9・7%だった。

死刑制度容認が減り廃止を求めた人が増えたのは注目されます。
廃止を求める理由(複数回答)の最多は
「裁判に誤りがあったときに取り返しがつかない」の46・6%で、
前回より3・4ポイント増。死刑確定後に再審開始決定が出た袴田事件が
影響した可能性もある。

袴田事件は影響しているでしょう。
しかしそれと同時に、裁判員制度も影響していると思います。
というのは、一般の人々が死刑判決の言渡しに参加する可能性があるので
「誤りがあったら取り返しがつかない」と真剣に悩む人も増えてもおかしくないからです。
続いて「生かして罪の償いをさせた方がいい」(41・6%)、
「国家であっても人を殺すのは許されない」(38・8%)の順番となった。

これらの理由に賛成する人たちは、確固たる死刑廃止論者だと思います。

今回は終身刑を導入した場合の死刑廃止の是非を
初めて質問に加えた。
「廃止しない方がよい」は51・5%、「廃止する方がよい」は37・7%で、
賛否の差が大幅に縮まった。
終身刑導入をめぐる議論に一石を投じそうだ。

終身刑が導入されると廃止に賛成する人が大幅に増えるのですか。
容認の理由(複数回答)は「廃止すれば被害者や家族の気持ちが
収まらない」が53・4%で最多。「凶悪犯罪は命をもって償うべきだ」(52・9%)、
「生かしておくとまた同じような罪を犯す危険がある」(47・4%)が
続いた。

このうち、最後の「再犯の危険性」を挙げた人たちは、
終身刑が導入されれぱ死刑廃止に賛成する可能性が高そうです。
というのは、終身刑というのは犯罪者を死ぬまで刑務所に拘置する刑ですので、
その者が少なくとも自由な社会の中で再犯する可能性がなくなるからです。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html
しかし、現在の無期懲役刑だって「十年を経過した後、
行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。」(刑法第28条)に過ぎず、
これを逆に言うと死ぬまで仮釈放しないこともできるのです。

実際、平成25年に仮釈放を許可された無期刑受刑者は僅か8人で、
しかも少なくとも30年は刑を執行されています。
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/61/nfm/images/full/h2-5-1-03.jpg
したがって、例えば30歳の時に無期懲役刑が確定した人でも、
仮釈放が許可された時には少なくとも61歳を超えています。
そして、61歳の人は30歳の人よりは暴力的でないのが普通です。

また、再犯を防止するための手段としては終身刑だけでなく、
たとえばGPSを装着させて一定の場所に住むように命令することもあります。

したがって、死刑によらずとも再犯を防止できる手段があることを
より多くの方にご理解いただければ、
死刑廃止論が容認論を上回ることもありうると思います。

話の順序は前後しますが「『廃止すれば被害者や家族の気持ちが
収まらない』が53・4%で最多」だったことに対しては、
家族間の殺人事件でも死刑判決が確定している場合があることを指摘できます。
http://www.geocities.jp/hyouhakudanna/cplist.html
家族間の殺人事件の場合には、
被害者や家族は加害者に強い復讐心を抱かないこともあるでしょう。
にもかかわらず死刑判決が確定しています。、
したがって死刑制度は被害者や家族の復讐心を満足させるためだけのものとは
言えません。

また、容認する人のうち40・5%が「状況が変われば将来的には
廃止してもよい」と回答。死刑の犯罪抑止力を問う質問では
「死刑がなくなっても凶悪犯罪が増えない」と答えた人が14・3%で、
前回より4・7ポイント増えた。

どういう状況が変われば廃止してよいのでしょうか。

また、死刑の犯罪抑止力は「ない」と断言できます。
その理由は次の通りです。
(1)少年法第51条第1項は「罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、
死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。」と、
犯罪行為時18歳未満の者に対する死刑を廃止しています。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO168.html
しかし、現行少年法が施行されて既に66年も経っていますが、
18歳未満の者による凶悪犯罪は増加していないのです。
それどころか、長期的には減少すらしているのです。
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/39/nfm/n_39_2_3_2_1_3.html
ですから、少なくとも行為時18歳未満の者については、
「死刑を廃止すると凶悪犯罪が増える」と言うことはできないのです。

(2)さらに、少年法第51条第1項を反対解釈すると、
犯罪行為時に18歳以上の者に対しては死刑を言い渡すことが可能です。
そして、犯罪行為時に18歳以上だった者にも死刑判決が確定し、
一部は既に執行されていますので、
死刑はこれらの者に対しては犯罪抑止力がなかったのです。
http://www.geocities.jp/hyouhakudanna/cplist.html


コメント

アミ
2015年1月26日7:24

死刑制度。 複雑です!
身内を殺害された(しかも加害者の欲望と言う理由で)私には、簡単に廃止とは言えません。

loving-c.
2015年1月26日11:35

ご身内を殺害された方が無理して廃止に賛成していただく必要はありません。

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