名城大常勤理事を逮捕、愛知県警 (ロイター)
2015年1月18日 時事ニュース コメント (2)http://jp.reuters.com/article/kyodoNationalNews/idJP2015011701002012
名城大といえば、8年前に日本刑法学会が開催された時に、
行ったことがあります。
http://www.clsj.jp/
初日(5月26日)の午後(13:30-17:00)に行われた「共同研究」の
「分科会Ⅰ 『経済活動と刑法』」では、名古屋で行われた学会にふさわしく、
トヨタ自動車で当時法務部主査であられた菅原章文さんが
「企業におけるコンプライアンスへの取組み」という研究報告をされています。
なお「コンプライアンス」とは、もともとの意味は、
「(要求命令などに)従うこと」ですが、マネジメント用語としては
「法令遵守」の意味で使われています。 つまり「文字通り、
企業活動を取り巻く法律・規則を遵守し違反しないということ」ですが、
広い意味では「企業倫理、社会倫理の遵守も含んで」います。
社会からの企業活動を見る目は年々厳しくなっていまして、
法律・倫理に違反した企業は存在そのものが問われるケースも発生するなど、
企業経営においてコンプライアンスの重要性は高まっています。
https://www.google.co.jp/webhp?sourceid=chrome-instant&rlz=1C1EODB_enJP518JP522&ion=1&espv=2&ie=UTF-8#q=%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%A8%E3%81%AF
ただ、私は分科会Ⅰには出席できませんでした。
私が出席したのは分科会Ⅲ 「施設処遇から社会内処遇へ」です。
「施設内処遇」とは、刑務所や少年院といった施設の中で
犯罪者や非行少年を扱うことです。
これに対して「社会内処遇」とは、文字通り社会の中で、
犯罪者や非行少年を扱うことです。
そして2007年の刑法学会での「分科会Ⅲ」での報告は、次の通りでした。
どの報告者の方も、この分野では優れた見識をお持ちです。
ただ、染田さんと柿澤さんのご所属は、現在は違うかもしれません。
なお、分科会Ⅱは「犯罪被害者と刑事手続」についてでした。
報告されたのは以下の通り、
刑事訴訟法学や刑事訴訟の実務では錚々たる方々です。
ただ、加藤克佳(かとう・かつよし)さんは、現在、名城大学にお勤めです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E8%97%A4%E5%85%8B%E4%BD%B3
前置きが長くなってしまいました。
これからニュースそのものの感想を書きます。
上記のような日本刑法学会が開催されたこともある名城大学の、
それも常勤理事が逮捕されるとはびっくりです。
首をベルトで絞めて「殺意があったかどうか分からない」という弁解は、
警察や検察や裁判所には通用しないのではないかと思います。
しかし、以下に引用する部分は気になります。
この「けんか」や「もみあい」がどのようなものであったかによっては、
小瀬被疑者の行為は、
少なくとも過剰防衛(刑法第36条第2項)が成立する可能性があります。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html
また、過剰防衛すらも成立しなくても、
被害者である「次女は軽傷だった」そうですから、
家庭内のけんかがエスカレートした事件でもありますし、
小瀬被疑者に執行猶予(刑法第25条)が付く可能性は高いと思います。
実は先ほどご紹介した加藤克佳さんは弁護士の資格もお持ちの上、
司法試験の刑事訴訟法の考査委員も務められたことがあります。
もし加藤さんが小瀬被疑者を弁護したら、
少なくとも過剰防衛の可能性は主張されるでしょう。
しかし実をいうと、加藤さんは現在、
ドイツのアウグスブルグに在外研究中ですから、
小瀬被疑者の弁護はできません。
ただ、名城大学には法科大学院がありますから、
そこの実務家教員である弁護士さんが小瀬被疑者の弁護をする可能性はあります。
名城大といえば、8年前に日本刑法学会が開催された時に、
行ったことがあります。
http://www.clsj.jp/
初日(5月26日)の午後(13:30-17:00)に行われた「共同研究」の
「分科会Ⅰ 『経済活動と刑法』」では、名古屋で行われた学会にふさわしく、
トヨタ自動車で当時法務部主査であられた菅原章文さんが
「企業におけるコンプライアンスへの取組み」という研究報告をされています。
なお「コンプライアンス」とは、もともとの意味は、
「(要求命令などに)従うこと」ですが、マネジメント用語としては
「法令遵守」の意味で使われています。 つまり「文字通り、
企業活動を取り巻く法律・規則を遵守し違反しないということ」ですが、
広い意味では「企業倫理、社会倫理の遵守も含んで」います。
社会からの企業活動を見る目は年々厳しくなっていまして、
法律・倫理に違反した企業は存在そのものが問われるケースも発生するなど、
企業経営においてコンプライアンスの重要性は高まっています。
https://www.google.co.jp/webhp?sourceid=chrome-instant&rlz=1C1EODB_enJP518JP522&ion=1&espv=2&ie=UTF-8#q=%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%A8%E3%81%AF
ただ、私は分科会Ⅰには出席できませんでした。
私が出席したのは分科会Ⅲ 「施設処遇から社会内処遇へ」です。
「施設内処遇」とは、刑務所や少年院といった施設の中で
犯罪者や非行少年を扱うことです。
これに対して「社会内処遇」とは、文字通り社会の中で、
犯罪者や非行少年を扱うことです。
そして2007年の刑法学会での「分科会Ⅲ」での報告は、次の通りでした。
「序論」 (司会)同志社大学 瀬川 晃氏
「仮釈放の実態と改善策」 龍谷大学 浜井浩一氏
「保護観察の実態と改善策」 慶應義塾大学 太田達也氏
「社会奉仕命令・中間処遇の導入に向けての課題」
法務総合研究所 染田 恵氏
「『更生保護制度改革の提言』と立法動向」法務省保護局 柿澤正夫氏
どの報告者の方も、この分野では優れた見識をお持ちです。
ただ、染田さんと柿澤さんのご所属は、現在は違うかもしれません。
なお、分科会Ⅱは「犯罪被害者と刑事手続」についてでした。
報告されたのは以下の通り、
刑事訴訟法学や刑事訴訟の実務では錚々たる方々です。
(司会)京都大学 酒巻 匡氏
「損害回復のための刑事手続の成果の利用」東京大学 川出敏裕氏
「犯罪被害者の刑事手続への参加」 上智大学 長沼範良氏
「犯罪被害者の権利拡充法制の意義と課題」愛知大学 加藤克佳氏
「弁護士による被害者支援活動 -被害者の刑事手続参加をめぐって」
弁護士 番 敦子氏
ただ、加藤克佳(かとう・かつよし)さんは、現在、名城大学にお勤めです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E8%97%A4%E5%85%8B%E4%BD%B3
前置きが長くなってしまいました。
これからニュースそのものの感想を書きます。
上記のような日本刑法学会が開催されたこともある名城大学の、
それも常勤理事が逮捕されるとはびっくりです。
逮捕容疑は17日午前10時10分ごろ、
自宅マンションで無職の次女(21)の首を
部屋にあったかばんのベルトで絞めて殺害しようとした疑い。
小瀬容疑者は「首は絞めたが、
殺意があったかどうか分からない」と供述しているという。
首をベルトで絞めて「殺意があったかどうか分からない」という弁解は、
警察や検察や裁判所には通用しないのではないかと思います。
しかし、以下に引用する部分は気になります。
瀬戸署によると、小瀬容疑者と妻(55)が次女とけんかになり、
もみ合いに発展。妻が「夫が娘の首を絞めている」と110番した。
この「けんか」や「もみあい」がどのようなものであったかによっては、
小瀬被疑者の行為は、
少なくとも過剰防衛(刑法第36条第2項)が成立する可能性があります。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html
また、過剰防衛すらも成立しなくても、
被害者である「次女は軽傷だった」そうですから、
家庭内のけんかがエスカレートした事件でもありますし、
小瀬被疑者に執行猶予(刑法第25条)が付く可能性は高いと思います。
実は先ほどご紹介した加藤克佳さんは弁護士の資格もお持ちの上、
司法試験の刑事訴訟法の考査委員も務められたことがあります。
もし加藤さんが小瀬被疑者を弁護したら、
少なくとも過剰防衛の可能性は主張されるでしょう。
しかし実をいうと、加藤さんは現在、
ドイツのアウグスブルグに在外研究中ですから、
小瀬被疑者の弁護はできません。
ただ、名城大学には法科大学院がありますから、
そこの実務家教員である弁護士さんが小瀬被疑者の弁護をする可能性はあります。
コメント
家族のルールにそぐわなかったから手が出たのだと感想を述べます。
ただ家族のルールにそぐわなかったから手が出たとしても、
それは刑を軽くする理由にはならないでしょうし、
してはならないと思います。
その理由は次の通りです。
第一に、法の下の平等(憲法第14条)という原則に照らせば、
家庭内でも殺人未遂は殺人未遂です。
第二に、憲法第31条には「何人も、法律の定める手続によらなければ、
その生命若しくは自由を奪はれ、
又はその他の刑罰を科せられない。」と規定されています。
しかし、家庭内のルールに反した娘を父親が殴っていいという法律はありません。